○井川町議会基本条例

令和4年3月18日

条例第8号

目次

前文

第1章 目的(第1条)

第2章 議会・議員の活動原則(第2条―第3条)

第3章 町民と議会の関係(第4条)

第4章 町長等と議会の関係(第5条―第9条)

第5章 議会・議会事務局の体制整備(第10条―第14条)

第6章 議員の身分・待遇、政治論理(第15条―第17条)

第7章 最高規範性及び見直しの手続き(第18条―第20条)

(前文)

井川町は「平成の大合併」の高まりの中、平成16年に自主自立の町づくりの道を選択し、各種政策を進めてきた。その中で井川町議会(以下「議会」という。)も議員報酬の見直しや議員定数の削減等の改革を行ってきた。

二元代表制を採用する地方自治において、井川町民(以下「町民」という。)から選挙で選ばれた議員により構成される議会は、同じく町民から選挙で選ばれた井川町長(以下「町長」という。)とともに、井川町の代表機関を構成する。この2つの代表機関は、ともに町民の信託に応える活動をしなければならないが、かたや、町長は独任制の機関として、また議会は多人数による合議制の機関として、それぞれの異なる特性を活かして町民の意思を町政に的確に反映させるために競い合い、協力し合いながら、井川町としての最良の意思決定を導く共通の使命が課せられている。

また、地方分権の時代を迎え、自治体の自主的な決定と責任の範囲が拡大した今日、議会はその持てる機能である監視機能と立法機能を十分に駆使して、町民福祉向上のために、真の地方自治醸成を目指さなければならない。

そして、議会は自治体事務の立案、決定、執行、評価における論点、争点を広く町民に明らかにする責務も有している。そのためには、自由闊達な討議が必要であり、その過程と結果を公開することが言論の府であり、討論の場である議会の重要な使命である。

このため、議会が公正性及び透明性の確保並びに議会自身の機能を高め、また議員間の自己研鑽と資質の向上を図ることにより、将来にわたり町の持続的な発展に寄与するとともに町民に信頼される議会を築くことを決意し、この条例を制定する。

第1章 目的

(目的)

第1条 この条例は、地方分権と住民自治の時代にふさわしい、町民に身近な議会及び議員の活動の活性化と充実のために必要な、議会及び井川町議会議員(以下「議員」という。)の活動原則等に関する基本的事項を定めることにより、議会がその機能を強化するとともに町民の負託に的確に応え、もって町民の信頼と町政の発展に寄与することを目的とする。

第2章 議会・議員の活動原則

(議会の活動原則)

第2条 議会は、町民主権を基礎とする町民の代表機関であることを常に自覚し、公正性、透明性、信頼性を重んじた町民に開かれた議会及び町民参加を不断に推進する議会を目指して活動する。

2 議会は、町長その他の執行機関(以下「町長等」という。)、町民と議員の交流と自由な討論の場であるとの認識に立って、別に定める井川町議会会議規則(昭和63年議会規則第1号)の内容を継続的に検討、見直しするものとする。

(議員の活動原則)

第3条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議の推進を重んじなければならない。

2 議員は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 町民から直接選挙で選ばれた公職である議員として、誠実かつ公正に職責を果たすこと。

(2) 町民の意見を的確に把握し、諸課題の調査研究及びその解決に努めること。

(3) 自らの資質向上に努め、不断の研鑽を積むこと。

(4) 議会の構成員として、一部団体及び地域の代表にとどまらず、町民全体の福祉の向上を目指して活動すること。

第3章 町民と議会の関係

(町民と議会との関係)

第4条 議会は、議会活動に関する情報や議会が有する情報の積極的な提供に努め、透明性を高めるとともに、町民に対する説明責任を果たさなければならない。

2 議会は、町民が会議等を傍聴しやすい環境の整備に努めるものとする。

3 議会は、本会議のほか、常任委員会、特別委員会等を原則公開し、町民が議会の活動に参加できるような措置を講じるものとする。

4 議会は、常任委員会、特別委員会等の運営にあたり、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して、町民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるものとする。

5 議会は、町民による請願及び陳情等を町民の政策提案と位置付けるともに、その審議においては、これらの提案者の意見を聴くように努めなければならない。

6 議会は、議案に対する各議員の対応を議会広報で公表する等、議員の活動に対して町民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めるものとする。

7 議会は、町政の諸課題に柔軟に対処するため、町政全般にわたって、議員及び町民が自由に情報及び意見を交換する場を設けるよう努めるものとする。

第4章 町長等と議会の関係

(町長等と議会との関係)

第5条 議会は、二元代表制の下、町長等と常に緊張ある関係を保ちつつ、議論を尽くし、議事機関としての役割を果たしていくものとする。

(町長等と議会及び議員の関係)

第6条 議会の本会議における議員と町長等の質問又は質疑並びに答弁は、一括質問一括答弁方式若しくは一問一答方式で行う。

2 議長から本会議及び特別委員会への出席を要請された町長等は、一問一答方式による場合は、議員の質問に対して議長又は委員長の許可を得て反問することができる。

(町長による政策等の形成過程の説明)

第7条 議会は、町長が提案する計画、政策、施策、事業等(以下「政策等」という。)については、政策等の水準を高めるため、次に掲げる政策等の決定過程を説明するよう求めることができる。

(1) 政策等の発生源

(2) 検討した他の施策案等の内容

(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討

(4) 総合計画における根拠又は位置づけ

(5) 関係ある法令及び条例等

(6) 政策等の実施にかかわる財源措置

(7) 将来にわたる政策等のコスト計算

2 議会は、前項の政策等の提案を審議するにあたっては、それらの政策等の水準を高める観点から、立案、執行における論点、争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。

(予算・決算における政策説明資料の作成)

第8条 議会は、町長が予算案及び決算を議会に提出し、議会の審議に付すにあたっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の施策説明資料を作成するよう求めることができる。

(地方自治法第96条第2項の議決事項)

第9条 地方自治法第96条第2項の議会の議決事項については、次のとおり定める。ただし、軽微な変更については、この限りではない。

 井川町総合振興計画

 井川町地域防災計画

2 その他町政に関わる重要な計画は、町長等と協議する。

第5章 議会・議会事務局の体制整備

(委員会等の適切な運営)

第10条 議会は、社会、経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、常任委員会、特別委員会等の適切な運営に努めなければならない。

(議会事務局の機能強化)

第11条 議会は、円滑かつ効率的な議会運営のほか、議会の政策立案に資するため、地方自治法第138条第2項及び井川町議会事務局設置条例(昭和33年条例第7号)の規定により設置する議会事務局の機能強化に努めるものとする。

(議員間の自由討議)

第12条 議会は、委員会において、必要に応じて議員間の活発な討議を尽くし、合意形成に努めるものとする。

(議員の研修の充実強化)

第13条 議会は、議員の政策形成及び立案の能力向上等を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。

2 議会は、議員研修の充実強化にあたり、広く各分野の専門家、町民の各層との協議研修会を積極的に開催するよう努めるものとする。

3 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、選挙を経た任期開始後速やかに、この条例についての研修を行わなければならない。

(議会広報活動の充実)

第14条 議会は、町政に係る重要な情報を、議会独自の観点から、常に町民に対して周知するよう努めるものとする。

2 議会は、広報紙その他情報技術の発展を踏まえた多様な方法手段を活用することにより、多くの町民が議会と町政に関心を持つよう広報活動に努めるものとする。

第6章 議員の身分・待遇、政治論理

(議員定数)

第15条 議員定数は、井川町議会議員の定数を定める条例(平成14年条例第12号)で別に定める。

2 議員定数の改正にあたっては、行財政改革視点だけではなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するものとする。

3 議員定数の条例改正案は、地方自治法第74条第1項の規定による町民の直接請求があった場合を除き、改正理由の説明を付して議員が自ら提案するよう努めるものとする。

2 議員報酬の改正にあたっては、行財政改革視点だけではなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するものとする。

3 議員報酬の条例改正案は、地方自治法第74条第1項の規定による町民の直接請求があった場合及び町長が提案する場合を除き、改正理由の説明を付して議員が提案するものとする。

(政治倫理の向上)

第17条 議員の政治倫理は、井川町議会議員政治倫理条例(平成22年条例第3号)で別に定める。

2 議員は町民の負託に応えるため、政治倫理の向上と確立に努めなければならない。

第7章 最高規範性及び見直しの手続き

(最高規範性)

第18条 この条例は、議会運営の最高規範であって、議会はこの条例に反する議員の条例、規則、規程等を制定してはならない。

(議会及び議員の責務)

第19条 議会及び議員は、この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例、規則、規程等を遵守して議会を運営し、もって町民を代表する合議制の機関として、町民に対する責任を果たさなければならない。

(見直し手続)

第20条 議会は、この条例の目的が達成されているか検証するとともに、見直しが必要と認められるときは適切な措置を講じるものとする。

この条例は、令和4年4月1日から施行する。

井川町議会基本条例

令和4年3月18日 条例第8号

(令和4年4月1日施行)